大判例

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最高裁判所第二小法廷 昭和27年(オ)72号 判決

上告人(原告) 浅尾国一 外七名

被上告人(被告) 千葉県選挙管理委員会

一、主  文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

二、理  由

上告代理人弁護士江幡清の上告理由について。

地方公共団体の議会の議員の当選の効力に関する訴訟については、公職選挙法は異議の申立及び訴願の前置主義を採用しているのであつて(同法二〇七条二項)右の選挙について、選挙の効力に関する同法二〇二条一項の規定による異議の申立に対する決定及び同条三項の規定による訴願に対する裁決を受けても、当選の効力に関する同法二〇六条一項の異議の申立に対する決定及び同条三項の規定による訴願に対する裁決を受けたものとすることのできないことは勿論である。

本件は、昭和二六年四月二三日行われた千葉市議会議員の選挙における内山昇外七名の当選を無効とする判決を求むる訴であることは、原審における上告人の主張自体から明らかであるにかかわらず、上告人は本訴提起前に、公職選挙法二〇七条二項、二〇三条二項の規定に従い、右「当選の効力に関する異議の申立に対する決定」及び「訴願に対する裁決」を受けていないことは原判決の確定するところである。

しからば、本訴を不適法として却下した原判決は相当であり論旨は結局、原審が右の点に関しその専権を以てした証拠の取捨判断及び事実の認定を非難するに帰着するのであつて上告の適法の理由とならない。

よつて民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条を適用し全裁判官一致の意見を以て主文のとおり判決する。

(裁判官 霜山精一 栗山茂 小谷勝重 藤田八郎 谷村唯一郎)

上告代理人弁護士江幡清の上告理由

原判決には採証法の誤り、然らざれば理由不備又は法の誤解あるものなりと思料します。

1 原判決は理由において「本件においては、原告等が当選の効力に関する異議の申立に対する決定及び訴願に対する裁決を受けたことについてはいずれもこれを認めうるような証拠がない」と認定しあるも、甲第四号証訴願裁決書には「仮に訴願人の補正の意思を忖度して当選の効力に関する主張を予備的申立として考察するに訴願人は……よつて本委員会は前述のように裁決することが至当と思料するのである」とあり、当選効力に関する判断、即ち裁決のありたること明らかなるに拘らず、原判決が右の如く認定したるは採証法を誤りおるものなりと信じます。

2 又原判決は理由において「原告らが右の異議申立書及び訴願書であるといつている甲第五号証の一、二によると原告らの前記異議及び訴願は選挙の効力に関するものであつて、当選の効力に関する異議及び訴願ではなかつたこと疑をいれる余地がない」と認定しあるも、原告らは原判決事実摘示四、五に記載ある如く同事実摘示二、三と同旨の事実を本件異議並びに訴願において申述し来たりたることは甲第五号証の一、二記載により明らかであります。而して右事実摘示二、三の事実は原判決理由において「選挙訴訟の申立を当選訴訟の申立に変更してもその請求の原因として主張する事実関係が全く同一であれば請求の基礎に変更がないと認むべきことはもちろんであつて、原告の訴の変更は許さるべきものである」と判断しある事項にして、客観的事実に変りはなく、それを原告らは主観的に判断して選挙無効なりと主張し来りたるに過ぎざるものであります。然るにも拘らず、原判決が前段において請求の基礎に変更ないと断じ、即ち客観的に当選無効の事実の主張ありたることを認めながら、後段において当選の効力に関する異議及び訴願ではなかつたこと疑いを容れる余地がないと断じたことは理由不備なるものと信じます。

3 若しそれ原判決の意が甲第五号証の一、二の異議並びに訴願の申立書の申立の趣旨、又は訴願の趣旨と題したる部分において選挙無効を申立ておる故に、原判決が前顕引用の如く……これを認めうるような証拠がない。又は……疑を容れる余地がないと断じたるものなりとせば法の誤解あるものと信じます。

なんとなれば異議又は訴願の書類作成に一定の法的形式はなかるべく、本件において原告らは卒直に申立の趣旨又は訴願の趣旨と題して願望の最大なる選挙無効の裁判あらんことを求めたるに過ぎざるもので、これを容れられざるにおいては当選無効の裁決あるも申立願望の一部を達することに変りはないので、これを辞する謂はないのであります。

而して異議、訴願共に行政上の問題にて訴訟における如く、申立と主張事実との関連性に拘束さるることなく許さるる限りにおいて異議、訴願申立人らの意を斟酌してそれに副う判断あるべきものなるべく、現に本件訴願においても当選無効に関する判断も申立人等が期待し居るものとその意を酌み裁決ありたることは前顕引用の部分により明らかであります。

果して然らば原判決は法の誤解に基きその判断を誤りおるものと信じます。

以上の次第にて原判決は破毀を免れざるものと信じます。 以上

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